〇いままでのインタビュー
第一回 隼駅まつりとハヤブサライダーは、コウノトリ
第二回 興味を持ってあげるだけでいい
第三回 柿の景観は残したい
最終回 柿の熊狙い
最終回 柿の熊狙い
沢山の観光客やライダーたちが訪れるゲストハウス「BASE8823」。
BASE8823のある八頭町隼地域は、隼バイクの聖地として多くのバイク乗りに愛され、多くのバイク乗りが訪れる地域です。
今回は、自身もライダーであるスタッフの山村さんにインタビューさせていただきました。
ライダーのこと、観光客のこと、鳥取のこと、八頭町のこと。
お話を聞かせていただきました。
若桜鉄道を使った観光が、とてもやり易くなっていく
山村さん(以下省略 山村) 若桜鉄道に乗りたい方は、結構いると思ってて。
―― この前、広島から兄夫婦が遊びに来た時にHOME8823で夕飯を食べて、隼駅から八東駅まで若鉄に乗せてあげました。
八東駅に車で迎えに行くと、「すごい綺麗な汽車だね」ってびっくりしてくれて。
山村 そういう遊び方ができるのは、若桜鉄道しかないですよね。
あんなに信号がなくって、道路が並走していて、しかも終点の若桜で折り返しをすることができる。
今度、ダイヤ改正があるので若桜駅や他の駅での滞在時間を取りやすくなりました。
今までは、滞在時間が少ししかない状態だったり、それを乗り過ごすと数時間待たなければならなかったり。
ダイヤ改正後は若桜鉄道を使った観光が、とてもやり易くなっていくと思います。
登録有形文化財の駅が多いですから、ぜひ各駅を巡って欲しいですね。
―― 山村さんがこれからやってみたいことって何ですか?
山村 さっき言った柿もそうなんですけど、この景観を何とか残していきたいです。
柿ってどうやって売れるんだろうっていつも考えています。
僕もお菓子を作ったり、いろいろやってみるんですけど、なかなか難しいです。
だから今は、工業製品のようなものにするのはどうなんだろうってところに行き着いています。
調べたことないから全くわからないんですけどね(笑)
僕は食べるなら、生ハムメロンみたいに生ハム柿にするのが一番好きですね。
このやり方じゃ、あまり消費できないんですけど。
柿の景観を残したいって言うのは、ひとつです。
柿って本当に面白くって。林檎や梨は、甘くて良い香りがするから、鳥が食べて種を運んでくれるように進化していると思います。
だから 、種も小さい。子孫を残すための戦略ですよね。それに比べて柿は、香りもないし渋い。特殊ですよね。
謎のフルーツですよね。どうやって子孫を残そうとしているのか。
種もおっきいし、鳥はあの種を食べたりなかなかしないと思うんですけど。熊狙いなんですかね?
―― (笑)
山村 固いし、熟してやっと食べれますからね。時間差で食べさせる感じ何なんでしょうね?
柿については、これからいろいろ調べていきたいです。
―― 山村さんが柿についてこんなに考えていることには、正直驚きです。
山村 あとは、「バイク×鳥取」ですね。「バイク×鳥取」は、相性抜群ですね。
その理由の一つ目が、ラッキーなことに公共交通機関があまり発達していないこと。
汽車やバスでもいけない場所が、多すぎるってことがラッキーなことです。
意味がわからないと思いますが、何がどうラッキーかは後でお話しします。大学生とバイクのお話しで。
二つ目が、人口が少ないこと。みんな出勤するエリアが限られているので、渋滞は都心部だけなんです。
市内とかだけですよね、渋滞があるのって。ラッキーです。
―― ラッキーですかね?
山村 ラッキーです。三つ目に、人口が少ないゆえに当然信号が少ないです。
そして、四つ目にラッキーなことに農業、漁業で成り立っているというか基盤になっているので、
道路整備はすごく充実しています。皆さん出荷するために、あらゆるところに道路が張り巡らされている。
道が本当にいいんです。五つ目に、道にマンホールが少なくて滑る心配がないんです。
ライダーにとってはありがたいです。六つ目は、沖縄の次に綺麗な浦富海岸があって、富士山みたいな山があることです。
同じ県に沖縄と富士山があるなんて、なかなかないですよね。
これが100キロぐらいしか離れてない。これを公共交通機関で結ぼうとすると難しい。
バスに乗って汽車に乗って、またバスに乗ってとなると。でもライダーだったら、あっという間に行き来ができます。
一日でそれが同時に楽しめるってことは、贅沢過ぎますね!
―― BASE8823では、バイクのレンタルもされてますよね?
山村 はい。バイクは、ここに運ばれてきます。運んでくれるレンタルバイクサービスです。
レストバイクっていうんですけど。バイク屋さんにバイク借りようと思うと、
必ずしもバイク屋さんは駅前にあるわけじゃないじゃないですか?
だったらこっちから運んでやろうって始めたサービスだそうです。
山手線の駅にも空港にも、新幹線の駅にも運んでくれます。
契約している駐輪場があってそこに、指定した日時に運んでくれるような仕組みです。
契約している駐輪場に乘り捨てもできるので、羽田空港で借りて姫路で乗り捨てることもできます。
このサービスは、ニーズに答えていますよね。ヘルメットやウェアなども全部用意してくれて、インバウンドの方にとても人気が高いようです。
日本をバイクで走りたいっていう、インバウンドの方の利用が多いようです。
大人の仕事だと思います。
―― バイクのメンテナンスの工具を貸出しされていますけど。
山村 はい、お貸ししてます。バイクを洗車したいって方がとても多いですね。水を貸してくださいって。
例えば、いろんな場所でバイクの洗車用の水を貸してあげる、バイクのメンテナンスの工具を貸してあげるってどうですかね?
バイクに優しい地域なんだなって思ってもらえるように。さすが隼の名前だけのことはあるなって、思ってもらえるような仕掛けをしてみたり。
先に出たコウノトリのお話につながりますけど、日本一バイクに優しい町、八頭町というより鳥取県全体ですかね、「バイク県」。
―― 「バイク県」ってすごいインパクトありますね。
山村 コウノトリと一緒ですよね。バイクの県だと言った瞬間、来たライダーさんが気持ち良く帰ってくれるんじゃないですかね。
志子部の集落が、ライダー歓迎と言ったら沢山のライダーが来てくれると思います。
バイク歓迎の宿とか、今後増えてくれたら嬉しいです。
バイクで走る場所が素晴らしいということが前提条件ですが、鳥取は環境が本当にいいんです。
走りにくい所に、バイク歓迎の宿があってもだれも利用しないと思うので。
ライダーが来てくれたらスタンプ押してあげる、スタンプラリーとかでいいと思います。無理しなくって。
特殊なことは、何もしなくていいんですよ。人として対応していけばそれでいいんです。
これからも、僕は観光客の方を人として対応していきます。
そのために地元の方には、やっぱり自分たちが持っているものを、いいものだって理解してもらいたいですね。
八頭町や鳥取のようなものを求めて、観光客は来てくれるんです。
人が少なかったり、渋滞がないっていうことがいいってことで、皆さんが八頭町や鳥取に来てくれる。
都会にあるものを紹介しても、他の場所にあるんだから心に届かない。
逆に、ないものを紹介してそのメッセージが届くのは、ライダーなんです。
人が少ない、車が少ない、信号が少ない、マンホールが少ない、電車がない「いいじゃん」って。
でも、素晴らしい人はいる、素敵な景色や道はある。地元の方にわかって欲しいですね。
―― BASE8823にいる山村さんだから言えることですね。
山村 あと、学生とバイクの接点を作りたいですね。公共交通機関がないのはラッキーと言ってた話です。
大学には地域学部があるのに、湖山と若葉台といった住宅街にほとんど住んでるのは、ちょっと僕には引っ掛かります。
地域の勉強をするならやっぱり集落に住んだ方がわかりやすいし面白いと思いますよ。
僕は、八頭町の志子部集落に住んでいたので、なおさらそう思います。
バイクなら免許を取るのも購入することも、車に比べてコストが安い。
大学生は、バイクに乗るようになったら集落に住んでもらう。
バイクだったら通学できますからね。林道をバイクで走るのなんか楽しいですから。
若桜町や八頭町に大学生が住んでくれてもいいし、住みたい学生はいると思います。
BASE8823に関わってくれて、バイクに乗って人生が変わったっていう大学生が2人います。
鳥取でバイクに乗っていた学生が全国各地に散らばれば、鳥取の魅力を発信してくれると思うんですよ。
都会のごみごみしたところでバイクに乘るより、鳥取でバイクに乘って楽しかった、人生変わったという学生は、きっと鳥取に帰ってくるんじゃないかな。
そうやって、バイクに乗る鳥取ファンを増やしていければいいなと思います。
その子たちが、家族を作って、しっかり仕事をして、財産もしっかり作って、
それでも「いつか鳥取に帰ってきたい」って思えるような場所にすること。
「やっぱ鳥取って良かったよね」って言ってもらいたい。
都市で働いても、そんな風にずっと思ってもらったら鳥取にまた住むってこと、ありえるんじゃないかなと思います。
そうしていくことが、大人の仕事だと思います。若い人が鳥取の魅力を感じられるようにしていくことが。
鳥取発の若いライダーが、鳥取県外でライダー仲間を作ったとき、その友だちに鳥取県を紹介する。
紹介されたライダーが鳥取に遊びに来る。そういう流れってライダーだとごくごく当たり前なんですよ。
それがきっかけで鳥取に興味を持ってくれる若い人が増えると嬉しいですね。
そして、そういうきっかけ作りにBASE8823が協力できれば更に嬉しいですね。
〇インタビューは、以上となります。
最後まで読んでいただいてありがとうございました。