第二回 興味を持ってあげるだけでいい
沢山の観光客やライダーたちが訪れるゲストハウス「BASE8823」。
BASE8823のある八頭町隼地域は、隼バイクの聖地として多くのバイク乗りに愛され、多くのバイク乗りが訪れる地域です。
今回は、自身もライダーであるスタッフの山村さんにインタビューさせていただきました。
ライダーのこと、観光客のこと、鳥取のこと、八頭町のこと。
お話を聞かせていただきました。
マナーを守ってくれれば、特に何もないですね。
―― 八頭町には沢山の観光客が年々訪れるようになっています。僕たちは、観光客の皆さんを見たらどんな心構えでいればいいんですかね?
山村さん(以下省略 山村) その人に興味を持ってあげるだけでいいと思います。
―― 興味を持つ?
山村 何かしてあげるとかじゃなく、「どっから来たんですか?」とか。
無理に何か聞いてやろうとかじゃなくって、何気ない会話。それで、十分じゃないかなと思います。後は手を振ってあげるとか。
―― 観光客に対して、思うことはありませんか?
山村 マナーを守ってくれれば、特に何もないですね。八頭町にマナーの悪い観光客は、あまり来てないと思います。
目的を持って来てくれる人が多いので。あとは、僕らがその気持ちに寄り添ってあげればいいんじゃないかなと思います。
また都会から来る方は、応援してあげたいっていう精神の方が多いですね。
ここが無くなると自分達が困るから。そういうお客さんに楽しんで帰ってもらえれば、また八頭町に遊びに来てくれると思います。
だから、今のこの町全体が残って欲しいです。今この状態が僕は最高であり、最低ラインだと思います。
今以上に畑や田んぼをやらない場所を増やさない。若桜鉄道が走っている。果樹園がある。山がある。それがメインかな。十分です。
―― このままの状態が続けばいいと思われているんですね?
山村 八頭町にお住いの皆さんも、八頭町が何となくいいなとは思っているけど、本当にいいかは、みんな分からないんじゃないかなと思います。
隼駅いいねって言われて、「あっ、いいんだ」って気づけるっていうか。
志子部に宿泊された方、みんなびっくりしていますもん。
どこにでもあるかもしれない、山間の集落ですけど、目的がないと、行かないですからね。
それで、行ってみたらみんなほんとに優しい。
大江は、大江ノ郷があるから、また来ようって思ってもらえるのも魅力ですし。
大江とか隼とか人が来てくれる地域はいいなって、思われる人が多くいるかもしれないけど、自分の集落も良い所って感じてもらえるって思います。
当事者がわからないだけで、僕はバイクであちこち集落に行っているのでわかります。
ただ、行くきっかけがないだけで、それぞれ面白い特色があるのは間違いないですね。
―― 地域ごと集落ごとに文化が全然違いますもんね。
山村 僕は、集落ごとに特色が全然違うことがいいと思っています。だからこそ、そこへ行くと面白いんですよね。
その地域の人の話を聞くと、本当に面白いです。八頭町は、テーマパークみたいだと思います。
それぞれのエリアがアトラクションで、ジェットコースターがあったり、観覧車があったりというように。
駅ごとに区切ってみると、隼駅にはライダーが来たり、安部駅は実は安部という地名がなかったり、
八東駅には駄菓子屋さんと鉄板焼き屋さんが一緒になったお店があったり。
この近距離で、特色があり、駅間の距離が一緒で、フラットで山越えなくていいっていうのも回りやすいです。
清徳寺もあるし、桜だったら安部の土手があるし、柿畑もあるし。
季節ごとにそれぞれ異なった魅力が点在している感じですかね。
季節ごとにアトラクションが変わるんですよね。
沿線それぞれ、例えば桜でしたら八東総合運動公園もあるし、
安部駅も隼駅もちょっとあるし、天満山もあるし、因幡船岡駅もある。桜の見方も違うんですよ。
僕は今、花見のツーリングについて記事を書いているんですけど。
並木もある、隼駅のように駅のホームにポンポンとある、因幡船岡駅は駅の駐車場にある、天満山は遠くから眺める。
それぞれ楽しみ方が違うんですよ。芝生に八東総合運動公園の桜はある。
八東総合運動公園の桜は、なかなか気づけませんでした。公園の裏側にあったんで。
どうやら桜が咲いているらしいということを聞いて、調査に行きました。夜桜を僕は、めちゃ推してるんですよ。
BASE8823に宿泊してもらうと、手軽にあちこちの違った夜桜が楽しめますから。
ここに来たお客さんと地域をつなぐのが、もう一つの仕事だと思っています。
BASE8823の前に、隼えにしさんのしいたけのハウスもできましたので、折角来たんだから、色んなことを体験して帰っていただけたらと思います。
みんなが必要としてくれることが、できているのかも
―― BASE8823をやっていて大変だったことはありませんか?
山村 BASE8823が次5年目で、僕が八頭町に来たのも2016年の冬でほぼ一緒です。
来た時にBASE8823の改装を手伝って、4月オープンでした。
初めはお客さん少ないし、ライダースゲストハウスですが、ライダーがあまり泊まりに来なかったり。
今も利用者は、ライダーとそうじゃない方が半々ぐらいです。
ライダーの方以外もたくさん泊まっていただいていて、この地域をとても気に入ってくださっています。それはとても嬉しいことですね。
BASE8823で提供しているバーベキューの3回転とかも、大変ですよ(笑)。
大変ですけど、人が集まるところを皆さん欲しているんだなって感じました。
よく鳥取は、何もないって言われる方がいますけど、
それはみんなで集まれる場所が少なくなってるってことなんじゃないかなと思います。
「興味がある場所で、行きたいところ」がないというか。
僕らはみんなが必要としてくれることが、できているのかもしれませんね。
―― 逆に地元の人間なので隼でお茶するのは、気が引けるって言われる方いますよね?
山村 あの感情って何でしょう(笑)?地域独特の感情なんでしょうか?
若桜町の方にとっては、わざわざ鳥取市に行かなくてもいいので、喜んでくださってると思います。
今度若桜鉄道のダイヤ改正で、汽車の時間が増えることもありがたいですよね。
鳥取の方面からお越しの方も来やすくなるのではないでしょうか?
でも直通が減るから、普段若鉄に乗っている方は少し手間が増えるのかもしれません。
―― ひと手間のような感じがしますけど?
山村 若桜鉄道は、乗降口に階段が付いているので乗り換えが大変かもしれません※。
段差があって、例えば因幡船岡駅から乗って郡家駅で乗り換えをする際、お年寄りの方は結構大変だと思います。
古い気動車ですから、構造上仕方ありませんけども。しかし、車掌が乗務しているのが素晴らしいですね。お客様にとっては安心でしょうね。
※山村さんは、元鉄道会社の職員さん
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