「若桜鉄道に乗車するために、八頭町を訪れる鉄道ファンの気持ちを知りたい」

そんな思いから、地元の鳥取大学鉄道研究会にインタビューを行いました。

そして地域住民には日常になっている若桜鉄道や沿線の魅力について、お話を聞かせていただきました。

以下写真:八頭町、八頭町観光協会、鳥取大学鉄道研究会

第三回 鉄道ファンは八頭町の観光に何を感じますか?

隼ライダーさんは若桜鉄道にいつも手を振ってくれます。

――隼ラッピング列車が4月29日にリニューアルされました。隼駅の取り組みや隼ライダーについて、皆さんはどのように思われますか?

鉄道研究会Aさん(以降Aさん):普段ライダーは鉄道に興味がない人も多いと思います。しかし、個人的には隼駅の取り組みや隼ライダーたちが、若桜鉄道や沿線の関係人口を増加に関して重要だと感じています。定住や観光目的じゃなく、聖地「隼駅」に行くためという関係性を作るきっかけを作っています。また隼駅の盛り上がりはたくさんのライダーが、バイクの隼に興味があるということの裏返しだと感じます。

鉄道研究会Dさん(以降Dさん):ミニSL博物館に出勤する際隼駅を経由しますが、いつ降りてもバイクを見かけます。若桜鉄道に対してライダーさんはいつも手を振ってくれたり、隼駅に置いてあるノートに自分の思いを書かれています。先日やずバスの運転手さんがライダーさんにお願いされて駅舎とライダーさんとバイク、車両写真を撮ってあげている現場に遭遇しました。見ていて温かい気分になりました。

鉄道研究会Bさん(以降Bさん):隼駅の保存会さん(隼駅を守る会)が、ライダーさんと協力して盛り上げていく姿勢が素晴らしいと思います。自分が八頭町船岡出身だから余計に感じるのかもしれません。SNSの呼びかけで数台集まったのがことが起源の隼駅祭りが、こんなに大きなことになるとは思ってもみなかったです。

――東京から来たライダーさんが隼駅祭りの駐車場係をされてたりする、とても熱いコミュニティです。

Aさん:隼Lab.もライダーさんにとっていい場所になっています。

Dさん:Home8823もそうです。ライダーさんにとっておいしいごはんが食べれるスポットですね。3年前に町営バスで船岡竹林公園に向かってる際、隼駅祭りをたまたま見て驚きました。こんなに人とバイクが集まるのかと。その際は船岡竹林公園の前がバイクで渋滞していました。結局ライダーさんが脇に避けて、僕の乗っているバスを通してくれました。

――2019年8月4日に行われた第11回隼駅祭りに駆け付けたバイクは2,300台です。

Aさん:こういった取り組みはローカル線として先進的です。他のローカル線はただの観光地への移動手段としての位置づけだったり、そもそも観光地がない場合があります。隼駅は、もともと有名な観光地ではありませんでしたが、「隼ライダーの聖地 隼駅」という魅力的な観光地となりました。

Bさん:「隼ライダーの聖地 隼駅」はライダーの皆さんや町外からの発想と八頭町の地域資源をうまく融合させています。こういった新しい考えは、地域住民だけで作り築くことが難しいです。だから地域住民だけでなく外部からの意見を汲み取れるかが、ローカル線の運営には影響してくるように思います。

――八頭町の方々も外部からの考えをうまく取り入れる柔軟性がすごいです。

Aさん:鉄道と他の交通機関によるコラボレーションはほとんど例がありません。最近やっと出てきたバイクとのコラボレーションは、天竜浜名湖鉄道によるヤマハのバイクとコラボレーションです。こちらは去年のことで、2009年から行われている隼駅はとても先進的だったと感じます。

観光だけに頼ると、沿線住民の気持ちを忘れてしまうようです。実際にそういった鉄道会社もあります。若桜鉄道のこれまでの事業は、沿線住民と観光客の良いバランスをとれている事業が行われていると感じています。

観光客にとって若桜鉄道は、簡単な鳥取の楽しみ方です。

――県外からお越しの方、また県外の鉄道研究会にお勧めするときは若桜鉄道のどこのスポットをおすすめしますか?

Dさん:自分は出身大阪で母校の高校にも鉄道研究会があり、当時若桜鉄道に一回取材させていただきました。その際は若桜駅に行って転車台をぐるっと回したり、SL機関車の運転室で写真を撮るなどを行いました。自分がアルバイトに行っている船岡竹林公園のやずぽっぽも、魅力の一つではないでしょうか。

Bさん:鉄道旅行は乗りつぶしっていうのが多くなってしまうので、何か魅力があると鉄道ファンも楽しめると思います。

――乗りつぶしってどういう意味ですか?

Aさん:だいたい書店に鉄道帳のようなものがありまして、乗った路線に蛍光ペンなどを引きます。鉄ちゃんは、鉄道旅行する際を持ち歩いています。

――(乗りつぶし帳を見せてもらう)すごい、楽しそう!!

Cさん:僕は中四国の鉄道はすべて制覇しています。乗りつぶしだと本当に乗るだけになってしまうこともあります。僕もただ乗っただけの路線もあります。

Aさん:定かではないですが、他県の鉄道研究会さんは主な活動が塗りつぶしだと思います。そこから先のことは、鉄道研究会の自主性で活動の幅は広がっていきます。

――若桜鉄道も18時10分郡家発に乗るために、一日フリー切符を買われる方も多くいます。そういった方々は、本当に若桜鉄道に乗るために八頭町若桜町にお越しいただいたんだと思います。

Bさん:若桜鉄道の企画切符として何か別の商品と組み合わせて販売すると、より利用者が増えるかもしれません。

――撮影や鉄印帳などで訪れる観光客がたくさんおられます。

Aさん:撮影の方って車で移動する方が多いです。観光で地域の経済を潤すため、土地の住民と関わりを持ってもらうためにはそれ以外の楽しみを提案できるかが大事になってくると思います。乗り鉄ならおいしいものを食べたり、グッズを買うことを平行して行うのですが撮り鉄はそうはいきません。

鉄印帳のお客さんは乗り鉄がほとんどだと思います。鉄道だけでなく、鳥取を知って帰って欲しいです。鉄道研究会に所属して自分も鳥取を知りことが楽しかったからです。

Bさん:ただ若桜鉄道は終点が行き止まりというか、抜けれないの路線のため鉄印帳などは集めにくいんです。

若桜鉄道は兵庫県の八鹿町八鹿字大森にある西日本旅客鉄道(JR西日本)山陰本線の駅とつながる予定でした。こういう第三セクターの鉄道会社は他にもあって、山口県の錦川清流線(にしきがわせいりゅうせん)などです。この鉄道は国鉄山口線とつなげる計画がもとはありました。

Aさん:若桜鉄道も当初の計画通りにはいかず途切れてしまっていますが、中心部の鳥取市と近いです。それも利点であると思います。郡家駅まで鳥取駅から10分ぐらいで来ることができます。

ちなみに若桜鉄道の本数について少なく感じるかもしれませんが、単線の鉄道としては多いほうです。

観光客の皆さんは鳥取に来たら砂丘を見て帰ってしまいます。なかなか郡家まで行って若桜鉄道に乗ってもらうことが難しいです。しかし、知ってる人にとって若桜鉄道はとても簡単な鳥取の楽しみ方です。みなさんご存知でないようです。

Bさん:僕はやっぱりJRの乗り入れが強いと感じています。乗り換えがないということが便利です。第三セクターだと多くの場合、改札が区切られていて乗り換えがめんどくさいです。しかし若桜鉄道は乗り入れがあり汽車の中で乗務員さんが、対面で切符を購入できるという強みがあります。

ただ個人的には乗り換えをもっとしやすくしていただきたい点はあります。もちろん末端線なので難しいかもしれません。また、八頭町営やずバスと若桜鉄道、因美線との乗り継ぎが一部不便な点が昼間にあるように感じます。その乗り継ぎが良くなれば、大江ノ郷自然牧場などに早い時間帯に行けたりできるのではないでしょうか?

鉄道はダイヤや他の鉄道会社との関係があります。そのため変更は、少し難しいと感じます。しかし、町営やずバスは、鉄道ダイヤとの乗り継ぎを円滑にできないかと感じています。

町営やずバスも水戸岡鋭治氏デザイン

Aさん:鉄道やバスを運行することによって利益を出すのは難しいということも分かります。そして、地元の住民の声できっとバスのダイヤは決まっていますよね。この中の3人はそういった公共システムを研究する研究室に入っています。

Dさん:やずぽっぽに行くときのバス(やずミニSL博物館線)も土日ですが汽車が隼駅について10分間ぐらい待ってバスが出ます。もう少し早く発車していただけるとありがたい、とバスの運転手さんによく話しています。

そして隼駅から郡家行のバスは、若桜鉄道と組み合わせづらいところがあります。若桜鉄道を乗りつぶして帰りに、やずぽっぽや大江ノ郷に行こうと考えるとバスとの乗り継ぎが不便に感じます。また隼から船岡竹林公園までは、30分かけて歩く必要が出てしまいます。

Aさん:やずぽっぽ単体で行くなら行けるんですけど、若桜鉄道を乗りつぶしを目的に入れると厳しいです。八頭町内は接続さえよければいろいろな施設が近いと思います。1日3本しか観光地へのアクセスする方法がなくても、接続さえよければ全く問題ないはずです。

Bさん:遠くへの移動は列車、バスは中距離を担う『列車とバスの協力』が理想です。通勤や通学などに八頭町の公共交通を利用している私からしても、町営やずバスの私都線や大江線との若桜鉄道やJRへの接続の利便性は向上してほしいです。その方が公共交通としての利益も出るのではないでしょうか?

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続きます