最終回 鉄道ファンに若桜鉄道や八頭町の魅力を伝える方法を教えて下さい。

「若桜鉄道に乗車するために、八頭町を訪れる鉄道ファンの気持ちを知りたい」

そんな思いから、地元の鳥取大学鉄道研究会にインタビューを行いました。

そして地域住民には日常になっている若桜鉄道や沿線の魅力について、お話を聞かせていただきました。

以下写真:八頭町、八頭町観光協会、鳥取大学鉄道研究会

〇いままでのインタビュー

第一回 皆さんの活動を教えて下さい。

第二回 鉄道と若桜鉄道の魅力を教えて下さい。

第三回 鉄道ファンは八頭町の観光に何を感じますか?

若桜鉄道の窓を開けて走ると気持ちいいです。風が入ってきて。

――鳥取県の鉄道の取り組みで面白いものを教えていただきたいです。

鉄道研究会Aさん(以降Aさん):有名なのは恋山形ですね。それに便乗した形かもしれませんが、ピンクのSLやピンクのカレー、ピンクの醤油なども面白いです。

鉄道研究会Dさん(以降Dさん):若桜の桜祭りでピンクのそばを買ったことがあります。桜を練りこんだそばだったんじゃないかと思います。

Aさん:あと境港のゲゲゲの鬼太郎列車は、乗ると鬼太郎に出てくるキャラクターの声優さんが行先案内「次は○○駅」を言ってくれます。旅情を掻き立てられます。

鉄道研究会Bさん(以降Bさん):列車に対して手を振る活動はやっぱり魅力的だと思います。天地(あめつち)、若桜鉄道の観光列車や瑞風(みずかぜ)という高級クルーズトレインなどで行われています。

――今コロナ渦で、若桜鉄道を使ったツアーがあまり行われなくて残念です。

Aさん:でも若桜鉄道に向かって小中学生が手を振っているのをよく見ます。都会ではあまりないことだと思います。

――一般の方が知らない若桜鉄道の秘密を教えていただけませんか?

Aさん:身近なことで言うと枕木オーナ活動などがあります。

Bさん:沿線住民ならご存じの方も多いかもしれませんが、八東駅の行き違い車線が完成するまでJRからキハ47号オレンジの列車が始発の6時過ぎの便と夜の9時半に乗り入れられていました。沿線住民でなければ知らないことだと思います。今は見られなくなって残念なのです。

鉄道研究会Dさん(以降Dさん):若桜鉄道観光列車の昭和、八頭、若桜ですが、昭和だけ窓の開く大きさがちょっと大きいです。どの汽車も窓は、開くんですけど。

若桜鉄道フォトイベント(撮影者 小谷写真館)

――えー!全ての場所の窓がということでしょうか?

Dさん:全てです。昭和の窓のサンが、10センチほど高いところにあってそのためです。

――検証してみなきゃいけないですね。

Dさん:昭和、八頭、若桜が連結してやっとわかるぐらいなので、皆さん気づいてないと思います。5センチほど違います。

Aさん:ローカル線ならではですね。電車だと窓を開けることができないことがほとんどです。

Bさん:確かに古い車両でないと窓が開かないことがほとんどです。鳥取では米子の方の黄色い列車、因美線を走っている47、隼ラッピング列車以外の若桜鉄道でないと窓は開きません。窓を開けて走れる列車は魅力的です。

Aさん:開けて走ると気持ちいいです。風が入ってきて。

――写真も窓を開けたらガラス越しでなく撮ることができますね。

Dさん:夏に鉄橋の上を窓を開けて、川の涼しい風を取り入れながら走るのがすごく気持ちいいです。

――スマホとか弄ったらだめですね。風景や汽車をもっと感じなきゃ。

Dさん:観光列車の座席の形、シートのデザインも列車ごとに違います。もともと全部観光列車は青色の予定でした。一番初めは桜のロゴで見分けがつくようなデザインを発表されていたと認識しています。

若桜線は桜が綺麗ですからね。もともと若桜鉄道の車両は「さくら何号」という名前でした。因美線を走っていると八頭町内に廃車になった若桜鉄道を見ることができます。

Bさん:あと、観光列車になる前の若桜鉄道はNゲージで模型が発売されています。シークレットというシリーズなどもあります。

Aさん:観光列車の模型を企画されたら人気が出ると思います。

Bさん:そうですね。昔のデザインの模型は出回っているので現在のデザインの物も作ってみてはいかがでしょうか?

Aさん:鉄道ファンには模型鉄も多いです。例えば、その模型を若桜鉄道沿線限定としたら、相当鉄道ファンが押し寄せると思います。ただ、今のコロナ禍だと難しいと思いますが。

Dさん:シークレットシリーズの鉄道模型は、当初若桜駅でのみの販売でした。

Bさん:自分も若桜駅に行って購入しました!

Dさん:さくら1号、2号、3号すべてデザインが違うんです。鬼っ子、あゆ、リンゴ、竹林、個性的な汽車の模型が魅力的でした。

Bさん:隼ラッピング列車バージョンの模型も欲しいです!

Aさん:隼ライダーの皆さんなら、模型好きでなくても記念に買っていかれるのではないでしょうか?

――なるほど、確かに!

Dさん:ライダーさんならバイクの模型と一緒に汽車の模型も購入出来たら嬉しいのではないでしょうか。

鉄道ファンや観光客を呼べる要素は、若桜鉄道に関して揃っていると思います。あとは伝えるだけだと思います。

――県外の鉄道ファンに知って欲しいことはありますか?

Aさん:鳥取は『汽車』と呼ぶことをぜひ知って欲しいです。なかなか気動車だけの路線はありません。そこも楽しんで欲しいです。

Bさん:やっぱり汽車なんで電車とは違って音もうるさいです。だけど、電車とはまた違った楽しみ方があります。自分は音鉄ではないんですけど、そういうことも楽しんでもらえたら嬉しいです。

――振動もちょっと違うんですよね?

Bさん:ちょっと違います。

Aさん:都会の人だったらICカードなど日常で使っていると思うのですが、この地域ならではの切符での対応、その温かみを感じて欲しいです。都会では切符になかなか触れることが無いと思います。

――若桜鉄道のような取り組みをしている鉄道会社があれば教えてください。

Aさん:北条鉄道ですかね。いろいろな鉄道会社があるのですが、地元の方と一丸となっている点が共通していると思います。

Dさん:ウサギの駅長がいるんですよ。

Bさん:私鉄ではなく、第三セクターとなると自治体が株主のような位置付けです。自治体が企画を練れるかが重要になってきます。古い車両を残す活動はいすみ鉄道やえちごトキめき鉄道にもあります。

岡山県の総社にある茨鉄道はディーゼル機関車を走らせています。汽車の中に美術館を作る計画もあるようです。茨鉄道は車両も若桜鉄道に似ているんですよ。またひたちなか鉄道は車内の装飾にとても凝っていて、若桜鉄道に共通点があるようです。

――写真を撮る場所としておすすめの場所を教えて下さい。

Bさん:第一八東川橋梁です。カーブする鉄橋はめずらしいです。因美線の鉄橋も横にありますし、写真を撮りに来られる方を多く見ます。丹比若桜間のスノーシェルターもトンネルじゃないけど、構造物として魅力的です。

鉄道研究会Cさん(以降Cさん):沿線を走る国道29号線に追い越しと休憩のためのスペースがあり、そこが撮影スポットになります。

Dさん:「徳丸どんど」のある第二八東川橋梁も撮影スポットです。川の中州まで行って見上げるようにしたら、滝の真上を若桜鉄道が通って行くように見えます。

Aさん:自然にできた滝をバックに撮る若桜鉄道も素晴らしいです。冬なら雪が積もり、撮影スポットまで歩きやすくなります。それ以外の季節は草木が邪魔をしてうまくたどり着けない場合があります。

Dさん:水が少ない時期に行くと撮影しやすいのですが、水が少ないと迫力に欠けます。春の雪解けの季節に中州までどうやってたどり着けるかがポイントですね。

Bさん:個人的に好きなのは、因幡船岡駅近くにグリーンカーソル八頭(ライスセンターで巨大な施設)がありますよね。その近くに踏切があって、グリーンカーソル八頭をバックにした写真を小さい頃から撮っていました。高い建物をバックに景色を撮るといい写真になります、インパクトがあって。黄色い検査車が先日入ってきて、一年に2回しか入らないのですけど、その時撮った写真がこちらです。なかなか無い景色が取れました。

Aさん:一般的には因幡船岡駅でしたら桜の季節に駐車場から撮る駅舎や鉄道がおすすめです。

Dさん:徳丸駅から若桜方面を見ると、長い直線で夕日の景色が素晴らしいです。

――若桜鉄道の魅力を県外に伝えるために、私たちができることは何でしょうか?

Bさん:やはりSNSです。最近鉄道研究会でもSNSを利用しているのですが、鳥取駅で隼ラッピング列車を見た際、Twitterで発信するとたくさんの反応がありました。沿線の魅力を一番伝えようとするならばSNSやブログだと思います。

不特定多数に見てもらいやすいので、積極的なSNSの発信が大事なのではないでしょうか?

Aさん:正直、鉄道ファンや観光客を呼べる要素は若桜鉄道に関して揃っていると思います。完成とは言えないかもしれないですが、ローカル線としては9割成り立っているのではないでしょうか。かなり先進的です。

Dさん:私も必要な要素は揃っている感じがします。YouTubeなど活用してみてはいかがでしょうか?鳥取県の観光PR チャンネルがありますよね。自分が勤務しているやずぽっぽも、また違う投稿者による発信で広がりを見せました。鉄道系ユーチューバーさんなどをお招きしてコラボレーションするなども良いと思います。

Aさん:本当に、あとは伝えるだけだと思います。

〇インタビューは、以上です。

最後まで、読んでいただきありがとうございました。